バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
(ロキは俺だって人型をさらしたらどうなる?)

(受け入れる?それともまた拒絶する?)

(あぁ、もうあんなのは嫌だ、どうすれば俺から逃げない?)

不意に首につけている合皮の感触を確かめる

もうかなり俺に馴染んでほつれさえある、匂いも染み付いている

首輪はそれをつけるものを捕らえておくためのものだ

手探りで金具を外して首から取ると、そのまま彼女の首にかける、そして金具を留める

(俺のもの)

とにかく女が起きても俺から逃げられないようにしたかった

(もっともっと俺のものになれ)

女が寝返りをうちながら足を曲げる
動きに合わせて甘い蜜の匂いと白く美しい足が俺を誘う

俺は足先からそっと鼻を沿わせて匂いが強くなる内腿まで女の匂いを鼻いっぱいに嗅ぐ

「ふふっ、ロキくすぐったい」

優しい声がする、今日はちゃんと俺に話しかけている、そう俺に、

胸が苦しくてたまらない、俺はヴァンパイアであるにも関わらず俺自身が人間のように複雑な感情を持ち合わせるようになっていた

(なぜだ…、)

自分がヴァンパイアであることを確かめるように、女の内腿に舌を這わせる

「やっ、やめっ…」

びくびくと反応する身体にかまわず思い切り噛みつく

二年ぶりの女の温かい生の血液は、俺のヴァンパイアの本能を呼び起こす

じゅるじゅるるっ…

(美味い、もっともっと…)

無我夢中でその味を堪能する

「あぁ、ろきっ…」

ハッとして口を離す、女は青ざめている

(吸いすぎた…)

やっぱり俺はヴァンパイアだ、犬としては生きては行けないー

その細く生白い首にかけられた首輪をさわりながら、軽く唇を合わせるだけのキスをする

俺はいつしか女の血だけではなく、

彼女の心まで欲する雄になっていたー


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