《短編》ガラクタ。
「漠然と、スミ入れんなら龍だろ、って思ってたけど、コイツは別格。」
「うん、わかる気がする。」
「だろ?
てかお前、体の相性も良いけど話も合うな。」
もしかしたら鳳凰を褒められたことが嬉しかったのだろうか、そんな言葉と共にあたしの頭を軽く撫でたアラタは、自らの指に挟んでいた煙草をあたしの口元へと運んだ。
それを吸い込み吐き出せば、彼の纏う香りに支配された気がして、本当にあたしはどうかしていると思わされるのだけれど。
「けど、痛かったんじゃない?」
「まぁね。
時間も掛かるし、回数重ねなきゃ完成しないモンだから。」
「そうなんだぁ。」
「そう、まずは筋彫りから。」
彼によって教えられることはどれも未知の世界で、あたし達は全裸のまま、DVDそっちのけでアラタの背中の鳳凰について語り合った。
時折ビールを流し、“すごいね”とあたしが言えば彼は、やっぱりどこか嬉しそうで、白灰色の煙を混じらせながら饒舌と言った様子だった。
「何かさ、強くなれる気がすんだよ、これ見てると。
上見て飛び立とうとして羽を広げ始めた感じ?」
「あぁ、わかる。」
「自己暗示っつーか、仮面ライダーとかと一緒なのかもな。」
「で、強くなれたの?」
「いや、そりゃわかんねぇけど。
でも、これを背負った以上、半端なことは出来ねぇな、って。」
「へぇ、格好良いじゃん。」
「知ってる。」
そんな言葉に思わず呆れるように眉を寄せてみれば、柔らかく顔の筋肉を緩めた彼はビールをクイッとあおってくれた。
普通は年の話とかDVDの話で盛り上がったりするのだろうけど、でも、あたし達には相変わらず、そんなものは皆無のまま。
それほどまでに、アラタの背中の鳳凰はあたしに衝撃を与えたのだ。
「うん、わかる気がする。」
「だろ?
てかお前、体の相性も良いけど話も合うな。」
もしかしたら鳳凰を褒められたことが嬉しかったのだろうか、そんな言葉と共にあたしの頭を軽く撫でたアラタは、自らの指に挟んでいた煙草をあたしの口元へと運んだ。
それを吸い込み吐き出せば、彼の纏う香りに支配された気がして、本当にあたしはどうかしていると思わされるのだけれど。
「けど、痛かったんじゃない?」
「まぁね。
時間も掛かるし、回数重ねなきゃ完成しないモンだから。」
「そうなんだぁ。」
「そう、まずは筋彫りから。」
彼によって教えられることはどれも未知の世界で、あたし達は全裸のまま、DVDそっちのけでアラタの背中の鳳凰について語り合った。
時折ビールを流し、“すごいね”とあたしが言えば彼は、やっぱりどこか嬉しそうで、白灰色の煙を混じらせながら饒舌と言った様子だった。
「何かさ、強くなれる気がすんだよ、これ見てると。
上見て飛び立とうとして羽を広げ始めた感じ?」
「あぁ、わかる。」
「自己暗示っつーか、仮面ライダーとかと一緒なのかもな。」
「で、強くなれたの?」
「いや、そりゃわかんねぇけど。
でも、これを背負った以上、半端なことは出来ねぇな、って。」
「へぇ、格好良いじゃん。」
「知ってる。」
そんな言葉に思わず呆れるように眉を寄せてみれば、柔らかく顔の筋肉を緩めた彼はビールをクイッとあおってくれた。
普通は年の話とかDVDの話で盛り上がったりするのだろうけど、でも、あたし達には相変わらず、そんなものは皆無のまま。
それほどまでに、アラタの背中の鳳凰はあたしに衝撃を与えたのだ。