《短編》ガラクタ。
「食え。」
冷蔵庫の中にあった野菜を適当にみじん切りにして混ぜ、ついでに卵を乗せてやったお粥をテーブルの上に置いてやると、彼は驚いたように感嘆した声を漏らしていた。
多分、シゲちゃんですらあたしのことを料理が出来ない人だと思い込んでるだろうけど、でも人間、意外なところもひとつくらいあるのが普通だし。
あたしの差し出したお粥を食べるアラタをただ黙って見つめていれば、熱そうな様子に思わず笑ってしまうんだけど。
すっかり陽は落ちて外は漆黒の色が広がっていたけど、目の前のその光景がひどくあたたかく見えて、やっぱりあまり、寒さは感じなかった。
「そういえば、アンタの名前は本名なの?」
「そうだけど。」
「何だ、ムカつく太郎とかかと思った。」
「つまんねぇよ、そのギャグ。」
そんな不貞腐れた様子にやっぱり笑ってしまい、煙草を咥えたあたしは口元だけを緩めた。
結局アラタはあたしの作ったお粥を全部食べてくれ、そしてお礼のつもりなのだろうか、あたしの頭をいつものように撫でるだけ。
まぁ、あたし達にしてはお互いの名前が本名だったと知ったことだけでも、多分会話は進歩したんだと思うけど。
でも、別にそれを呼び合うってわけでもないから、どっちでも良いと言えば良いのかもしれない。
「今日、泊まってくんだろ?」
「どっちでも。」
「泊まってけよ。」
「…寂しいの?」
「違う。
俺が風邪引いてこのまま死んだら、見つけてくれる人間が居ないから。」
「じゃあ、余計にやだよ。」
「喜べよ、第一発見者なんか望んでもなれねぇぞ?」
本当に、素直ではないらしい。
肩をすくめたあたしに彼は、挑発すような瞳を柔らかく伏せた。
冷蔵庫の中にあった野菜を適当にみじん切りにして混ぜ、ついでに卵を乗せてやったお粥をテーブルの上に置いてやると、彼は驚いたように感嘆した声を漏らしていた。
多分、シゲちゃんですらあたしのことを料理が出来ない人だと思い込んでるだろうけど、でも人間、意外なところもひとつくらいあるのが普通だし。
あたしの差し出したお粥を食べるアラタをただ黙って見つめていれば、熱そうな様子に思わず笑ってしまうんだけど。
すっかり陽は落ちて外は漆黒の色が広がっていたけど、目の前のその光景がひどくあたたかく見えて、やっぱりあまり、寒さは感じなかった。
「そういえば、アンタの名前は本名なの?」
「そうだけど。」
「何だ、ムカつく太郎とかかと思った。」
「つまんねぇよ、そのギャグ。」
そんな不貞腐れた様子にやっぱり笑ってしまい、煙草を咥えたあたしは口元だけを緩めた。
結局アラタはあたしの作ったお粥を全部食べてくれ、そしてお礼のつもりなのだろうか、あたしの頭をいつものように撫でるだけ。
まぁ、あたし達にしてはお互いの名前が本名だったと知ったことだけでも、多分会話は進歩したんだと思うけど。
でも、別にそれを呼び合うってわけでもないから、どっちでも良いと言えば良いのかもしれない。
「今日、泊まってくんだろ?」
「どっちでも。」
「泊まってけよ。」
「…寂しいの?」
「違う。
俺が風邪引いてこのまま死んだら、見つけてくれる人間が居ないから。」
「じゃあ、余計にやだよ。」
「喜べよ、第一発見者なんか望んでもなれねぇぞ?」
本当に、素直ではないらしい。
肩をすくめたあたしに彼は、挑発すような瞳を柔らかく伏せた。