Perverse
「…イイ顔」



そう言うと柴垣くんは私の頬を優しく撫でた。



柔らかく落としてくれた唇に、僅かながらの気持ちが感じ取れたのは気のせいだろうか。



唇に触れる温もりや耳に届く甘い吐息。



その全てに柴垣くんの気持ちを求めてしまうと、もっと奥まで欲しくなる。



「なぁ…」



不意に呼ばれて声にならない声で返事をする。



「このままでいいの?」



「…ハ…え…?」



「お前は『高嶺の花』で『みんなの三崎さん』なのにな」



どうして今、そんなこと言うの?



私はもう柴垣くんのこと以外、何も考えられないのに。



私達の温度差を感じて、溢れる涙を隠すように頭を振った。



「出張なのにお前とこんなコトして。お前貰っちゃったらアイツら、どんな顔すんだろうな」



もうヤメテ。



今だけでもいいから。



私だけを見て。
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