Perverse
津田さんと向き合って気持ちを伝えるはずだったのに。



私の頭の中から綺麗に消え去ってしまって、思い出したのはベッドの上。



思いがけない竹下さんの宣戦布告に私はパニックになり、津田さんに伝えるどころじゃなくなってしまった。



なんて誠意のない女なんだろう。



いつも自分のことばかりで津田さんの気持ちを疎かにしている。



それがどれだけ辛い事なのか知ってるくせに。



「私って…本当にばか…」



そう呟いたのを最後に私は睡魔に屈服した。



アラームが鳴って頭はクリアになっても心は重いままで、準備にかなりの時間を要してしまった。



鏡を見つめると朝とはとても思えないような表情の私がそこにいる。



自分では何のアクションも起こせない意気地無しの私から視線をそらすと、化粧もなかなか進まない。



当然出勤時間もズレ込むのは当たり前。



いつもの10分遅れで家を出ると、充分間に合うにも関わらず早足になってしまう。



ゆっくりと降りるエレベーターにそわそわし、開いたと同時にエントランスへと飛び出しホールを出たところで。



焦っていたはずの私の足はピタリと完全停止した。



だって目の前には…。



「おー、おはよ」



私に気付いた柴垣くんが歩いていたから。
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