Perverse
スマホをバッグにしまうと、そっと柴垣くんを見つめる。



暗いせいもあるかもしれないけれど、その表情は翳りのあるように見えた。



「津田さんすごいな」



そう言われて会話の内容のことかと焦ってしまう。



「冷静な判断と行動。それにフォローも忘れない。あの人が付いていれば大丈夫だって安心感があってさ」



フッと笑った柴垣くんは私と全然目を合わせてくれない。



「人として男として今のままだと勝てないんだって痛感したよ。認めたくないけど」



「そんな事ない。今日だって柴垣くんがいてくれて心強かったのに」



津田さんだけじゃない。



柴垣くんがいてくれたからこそ落ち着いて回避することができたのに。



存在そのものに支えられているのに、そんなふうに言わないでほしい。



「俺は全て津田さんの判断に従っただけだ。もっと的確な自己判断ができねえと駄目だ。色んなことに惑わされないように」



漸く合わさった柴垣くんの瞳に強い意志を感じて吸い込まれそうになった。
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