Perverse
スマホをジャケットのポケットにしまう。



ドキドキと落ち着かなくなってしまった私の心臓は、まるでダンスでも踊っているかのようだ。



まだ素直になるきっかけを与えてもらったに過ぎないのに、ついついスキップしたくなってしまう。



子供みたいに浮かれる気持ちを大人の自制心で落ち着かせ、なんとか自分のデスクに戻った。



すると。



「結菜さん。この数分の間に何があったんですか?」



沙耶ちゃんが吹き出しそうになりながら私を見つめた。



「なにって…なにも?」



「なにもって顔、してないですよ」



「変っ?」



慌てて両手で頬を挟んで顔を隠した。



「変というより…可愛すぎるっ」



そう言って沙耶ちゃんは腕を交差して抱きしめる真似をする。



「今の結菜さん、めちゃくちゃ可愛すぎますよ。いつもの綺麗な結菜さんもいいけど、今の可愛さは破壊力ありすぎる」



子供のように浮かれているのが顔にも滲み出ているってことなんだろうか…。



「恋する乙女って、こんな顔になるんだぁ」



そういえば沙耶ちゃんは私の片思いを知っていたんだった。



改めてそう言われると、恥ずかしくてたまらなくなってぎこちなく微笑んだ。
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