Perverse
あまりにも気まず過ぎて、声の方向を向くのも躊躇われる。



さっきまで何も聞こえなかったのに。



今はその声の主のヒール音がとてもよく響く。



「誤解のないように言っときますけど。別に聞き耳立ててたわけでも覗き見してたわけでもないですからね」



やめて、来ないでくださいぃ。



こんなところ、アナタには見られたくなかった。



「あれだけ私に偉っそうに仕事のこと語ったくせに、自分はその会社で何やってんですか」



「……スミマセン…」



もう、それしか言葉が見つからない…。



恐る恐る顔を上げると、心の底から呆れている表情の竹下さんが目の前にいた。



「竹下、ごめん」



私達の微妙な雰囲気に、柴垣くんの謝罪。



それが竹下さんの視線の鋭さを少しだけ陰らせた。



「竹下の攻撃の仕方も俺の守り方も、お互い間違ってたんだ。今ならそれがわかるよな、俺達」



とても優しく穏やかな柴垣くんの声は、竹下さんの心にはどう届いているんだろう。



「視野を広げれば、まだ軌道修正可能だったろ?」



柔らかく笑った柴垣くんは、私と竹下さんが対峙した事を知っているかのようだった。
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