Perverse
「てんめぇ……。なに言いやがる……」



上原くんのネクタイを掴んで左右に広げ、柴垣くんはゆっくり、けれど確実に上原くんの首を絞め始める。



「ぐえ……勢いあまって口が滑った……すまん……」



「すまん、で済んだら警察いらねぇんだよ。陸、一回お前の脳ミソ開いて調べてやろうか?ちゃんと機能してんのかどうか」



「義人……目がヤバい……」



「当たり前だ!このドアホがっ!」



オデコをくっつけて締め続けるネクタイを持つ手に、そこまでの力は入ってないとは思うけれど、そろそろ止めてあげた方がいいのかもしれない。



「柴垣くん……」



そう呼びかけると。



「え……六年の片思いって……本当ですか?」



竹下さんが眉を顰めて柴垣くんに向かって問いかけた。



「柴垣さんが?六年間も三崎さんのことを?……え……ありえないんですけど」



竹下さんが両手で口元を覆い背を逸らすと、柴垣くんの手から力が抜けて、上原くんの首を絞めていたネクタイがスルリと落ちた。



「男の人でもそんなに長い間、片思いできるもんなんですか?」



ぽつりと呟いた竹下さんの問いに答えたのは、わざとらしく咳込んだ上原くんだった。



「面接のときに一目惚れして、しぶとく六年想ってんだから大したもんだろ?」



ああ……柴垣くんはもう、生気を失ってしまっているようだ……。
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