Perverse
慌てた様子で入ってきたのは、同期の上原くんだった。



彼とは仕事上はあまり絡むことがないけれど、顔を合わせばにこやかによく話しかけてくる明るい人だ。



柴垣くんとは親友だと言っていたので最近は笑顔で接していたが、何年か前に楓が『アイツは最低だ!』と喚いていて距離を取っていた時期があり、実を言うと大して親しくはない。



「義人、お前凄いことになってんな」



周りの雰囲気などお構いなしに柴垣くんに近づいて肩をバシバシ叩くあたり、さすが上原くんだと思う。



「ちょ……お前はマジで来るな。陸が来て穏便に収まった試しはねぇんだから」



柴垣くんは心底迷惑そうにそう言って上原くんを近づけまいと押し返すけれど、彼にとってはそんなことは関係ないかのように強引に柴垣くんの肩を抱く。



「すげぇな、お前の噂。嫉妬されまくりじゃん。ところでお前、いつから竹下ちゃんと付き合ってたわけ?俺そんな報告受けてねぇんだけど」



「付き合ってねぇっ!つかお前、この状況見てわかんねぇの?今その話はタブーなんだよっ」



上原くんの腕から逃れたいらしく暴れる柴垣くんを上手く交わしながら、上原くんは大きな声で笑いだした。



「だよなぁ。義人が二股なんてありえねぇと思った。三崎ちゃんに六年も報われない片思いしてる男が、今さら他の女になびくわけないもんな」



上原くんの突然の大声での発言は、一瞬でフロア内を固まらせた。



声を出せなくなったのは柴垣くんも同じだったようで、あまりのショックに目を見開いて停止してしまったようだ。
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