Perverse
付き合ってまだ三ヵ月だというのに、こんなことでモヤモヤするなんてどうかしてると思う。



かなり重い女なんじゃないだろうか。



けれど、柴垣くんのテリトリーに自分がどんどん侵食していくのを見ていると、もう全てが許されているような気がしてならないんだ。



駄目だ、少しは自嘲しないと。



短く息を吐いたところで。



「結菜?なにしてんだ?」



いつの間にかキッチンに来ていた柴垣くんから声を掛けられた。



「昨日の夜に作ってくれてたのってコレだったんだな」



並んだ器を見て、柴垣くんが満足そうに微笑んでくれる。



「うん。簡単なものだけど、彩り良くしたから見た目もいいでしょ?」



少し偉そうに胸を逸らすと、柴垣くんはムッとした顔で溜め息をついた。



「陸になんて食わしたくねぇ。アイツに結菜の手料理なんて勿体なさすぎる」



軽く唇を尖らす柴垣くんを見ていたら、もう胸を掻きむしりたくなるほどキュンとしてしまう。



なんて可愛いこと言ってくれちゃってるんだろうか。



名前で呼ばれるだけでも慣れなくてくすぐったいのに、こんなこと言われると、どうにかなってしまいそう。



思わずしゃがみ込んでしまうと、「どうした?」といいながら一緒にしゃがんでくるものだから、私は堪らず柴垣くんに抱きついてしまった。



いくらリビングから死角になったからと言って彼氏を襲うなんて、私はもう痴女かもしれない。
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