Perverse
そんな私を柴垣くんは優しく包んでくれる。



彼はいつだってそうなんだ。



私の気持ちを引き出してくれて、私を安心させてくれて、私をたくさん愛してくれる。



付き合いはじめてからの柴垣くんは、本当に全ての感情を表現してくれるようになった。



それは二人きりの時は当たり前で、当然会社でもそうだ。



柴垣くんは思いのほか重度のヤキモチ妬きで、私に触れたり距離の近い男性社員全てを牽制していく。



社内では『三崎のケルベロス』という威名を付けられたほどだ。



そんな彼の態度がまた嬉しく思うなんて、私も相当だなと自分で思う。



柴垣くんといるとどうしても気持ちが抑えられなくて、好きが溢れすぎちゃって。



ついつい今みたいに所構わず抱きついてしまう。



それもこれも、こんなことをしでかす私を嬉しそうに抱きとめて包む柴垣くんが悪いんだ。



私を思いきり甘やかしすぎるから。



「結菜……」



耳元で名前を囁かれれば、もう全身の力が抜けちゃうほど、メロメロだ。



「みんながいるのに……ごめんね」



私は少しだけ体を離して柴垣くんを見つめた。



「集まったばっかりで悪いけど、もう帰ってほしいな」



柴垣くんが本気か冗談かわからない口調でそういうものだから、私達はおでこをくっつけたまま笑いあった。
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