Perverse
自分でもまだ理由付けできないほどの小さな変化に本当に気付かれているのならば、少しは素を出す努力の成果が出ているということなのだろうか?



まさか沙耶ちゃん、その変化の原因も…?



…いやいや、そんなはずないじゃない。



だってまだ…。



内心焦って自問自答しているとき。



「そういえば柴垣くんさ」



タイムリーな楓の振りに私の思考は停止し、沙耶ちゃんは口角を上げてチラリと私を見て『なんですか?』と楓の話にくいついた。



……恐ろしい子だ。



この子の前ではきっと私の思考はスケルトンなんだろう…。



「まだこっちに赴任して1ヶ月もたってないのに。さすがは柴垣さんですね」



沙耶ちゃんの声にハッと我に返る。



「柴垣くんがどうしたの?」



「結菜、話聞いてなかったの?」



「ごめん」



「柴垣さんに、もうファンクラブもどきが出来てるって話しです」



「はぁ?」



ファンクラブ?



いったいいつの時代だよ。
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