Perverse
すると楓は私の両頬を人差し指でぷにっと刺した。



「…痛い」



ジェルネイルで綺麗に飾られた爪が文字通り刺さる。



「わざとよ。結菜がそんな顔するから」



「だって」



「私の話ちゃんと聞いてた?結菜に隙と可愛さがプラスされて神だって言ったのよ。その隙と可愛さは、やっと出せるようになった本当の結菜でしょう?」



楓の言葉は私の心に響いて涙を誘発させる。



ずっと覆い隠していた本当の私。



「みんな完璧な結菜が好きなんじゃなくて『結菜』が好きなの。自信もって」



「…うんっ…」



我慢も虚しく零れてしまった涙を、楓はお化粧を崩さないようにハンカチで優しく押さえてくれた。



楓の気持ちが胸に沁みて、さらに目頭が熱くなってしまったのをなんとか堪えた。
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