Perverse
帰る間際。



タイミングがいいのか悪いのか。



ひとつだけ言えることは、津田さんと一緒に帰ることを柴垣くんには知られたくなかったということだけ。



「最近二人一緒に帰ってるって噂になってるみたいだけど。今日は俺が送ってもいいかな?」



津田さんは私と柴垣くんを交互に見ながら、どちらに対してなのかわからない質問を投げかけた。



柴垣の前で『はい』とは言いたくないけれど『いいえ』とは言えない。



答えにくい質問に言葉が出ない私を他所に、柴垣くんはフンと鼻で笑った。



「そんなこと聞かないでくださいよ。ただ家が近所だから一緒に帰ってるだけなんですから」



「……」



そんなことわかってるよ。



自惚れていたわけじゃない。



そう答えるだろうとは思ったけれど、柴垣くんから直接そう言われてしまうと流石に胸が苦しくなる。



「俺も噂を耳にして、そうじゃないかとは思ったんだけど。そっか、なんかごめんな」



明るくそう言われてしまえばもう何も言えない。



「じゃ柴垣くん、お疲れ様でした」



早くこの場を離れたくて、私はバッグを掴むと席を後にした。
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