私の遠回り~会えなかった時間~
「あっ、俺にも送ってよ。」

木本さんは山本さんにそんな事を言っている。

山本さんは意味ありげに笑う。

「いいかしら?大沢さん。」

そう私に確認してくれた。

出来れば止めて欲しかったけれど、この場でそんな事は言えない。

「どうぞ。」

にこやかに私は答えた。

「これからの資料にさせてもらうよ。」

そんな白々しい事を木本さんが言って、横で山本さんが笑いをこらえている。

「じゃあ、メイクをやり直してあげるね。」

さすがにこの派手なメイクのままでは帰れない。

私は久保さんにナチュラルメイクをしてもらって、会場を後にした。

モデルをしたおかげで会場の片づけを免除され、私は他の社員さんより少し早くこの長い一日を終えた。
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