私の遠回り~会えなかった時間~
「あれ?」
会場を出たのは8時を回った頃。
ホテルの前には見慣れたシルエット。
「終わったか?」
「どうしたんですか?彬さん。」
私は小走りに彬さんに寄り添う。
「最後の客がキャンセルだったから、いつもより早く終わった。ちょっと心配だったから迎えに来たんだが…、何だ、そのメイクは…。誰かにしてもらったのか?」
さすが腕のいいスタイリストの彬さん。
私の顔をまじまじと見つめる。
「大沢さん。」
そこに近づいてきたのは木本さん。
私と彬さんは同時に木本さんの方を向いた。
「今日は急なモデルをありがとう。駅まで送って行こうと思ったんだけど、その必要はなさそうだな。」