私の遠回り~会えなかった時間~

「あれ?」

会場を出たのは8時を回った頃。

ホテルの前には見慣れたシルエット。

「終わったか?」

「どうしたんですか?彬さん。」

私は小走りに彬さんに寄り添う。

「最後の客がキャンセルだったから、いつもより早く終わった。ちょっと心配だったから迎えに来たんだが…、何だ、そのメイクは…。誰かにしてもらったのか?」

さすが腕のいいスタイリストの彬さん。

私の顔をまじまじと見つめる。

「大沢さん。」

そこに近づいてきたのは木本さん。

私と彬さんは同時に木本さんの方を向いた。

「今日は急なモデルをありがとう。駅まで送って行こうと思ったんだけど、その必要はなさそうだな。」

< 105 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop