私の遠回り~会えなかった時間~
この動揺は彬さんにも伝わっているんだろう。

「今日は泊まって行けるか?」

ぼそりと彬さんは言った。

「でも明日は二人とも仕事で…。」

私が言いかけた言葉を彬さんは遮った。

「知紗、うちに電話しろ。」

いつになく強引な彬さんの様子に私は圧倒される。

私はおずおずと電話を掛ける。

その間に車は走り出していた。

「どこかで夕飯を食べて行こう。」

週末は彬さんと過ごすけれど、こんな風に外出はした事はない。

もしかして初めての外食かも…。

前をまっすぐに見て運転している彬さんの表情は怖いくらいこわばっているような気がした。
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