私の遠回り~会えなかった時間~
「彬さん…?」
「あの木本って奴、なかなかの男だったな。きっと仕事も出来るんだろうな。」
「ええ、企画室の次期エースらしいですよ。」
「ふ~ん。」
素っ気ない彬さんの返事に私は少しもやっとする。
すると彬さんはハッキリと大きな声で言った。
「俺はやきもち妬きだからな。これからも知紗は絶対あいつに近づくんじゃないぞ。」
「はっ、はい!」
反射的に大きな声で答えた私に、彬さんは一瞬きょとんとして、その後に大声で笑い出した。
「彬さん!」
「それで良い。知紗は俺からは離れられないんだからな。」
彬さんの車が風情のある和食屋さんに止まった。
料亭と言うほどではないけれど、品の有る店構えだ。