私の遠回り~会えなかった時間~
そんな事を言いながら、加代さんは楽しそう。

「やっと肩の荷が下りるわ。これまで気を張って生きてきたからね。これからはゆったりと自分のために時間を使うわ。少しお小遣いをもらえる程度に美容院を手伝いながらね。」

そんな思い思いの事を話しながらの食事はとても楽しかった。

そして加代さんは帰る時にもう一度念を押すように私に言った。

「土曜日の9時に待っているからね。」

私は渋々うなずいてから、加代さんを見送った。

まあ、あまり気は進まないけど、加代さんの頼みは断れない。

加代さん以外の美容師さん。

どんな人なんだろう。

私はそんな事を思いながら、自分の髪の先を見る。

「毛先をそろえるぐらいだから、大丈夫だよね。」

私はあまり深く考えずに、家の中に小走りで入って行った。







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