私の遠回り~会えなかった時間~

「実は、二人じゃない。」

車を降りた私は小走りに彬さんを追う。

案内された個室に、私が彬さんの後ろからひょっこりと顔を出すと、そこには…。

「知紗ちゃん、待っていたわよ。」

「お母さん、お腹空いちゃったわ。」

なぜここに加代さんとお母さんが居るの?

「彬が美容院をさっさと終わらせて出て行こうとしたから捕まえて問いただしたの。知紗ちゃんを迎えに行って食事に誘うって言うじゃない。あなたのお母さんにも声をかけて、彬に御馳走してもらおうと思って待ち合わせしたの。」

「確かに今日知紗は外勤って言っていたなと思って。」

じゃあ、さっき家に電話した時にお父さんが出たのはこういう事だったのか。

お母さんが電話に出ないなんて、珍しいなと思っていたんだ。

彬さんは知っていて、お父さんに連絡をさせたって事?

私のそんな様子なんかはお構いなしで、二人はとても賑やかしい。

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