私の遠回り~会えなかった時間~

「もう昨日の時点で社長にも話が上がっているの。引き受けてくれないと困るのよ。」

その山本さんの声と共に、その場に居る企画室の人が私に向かって頭を下げた。

「私からもお願いするよ。ポスターもメインは女優さんのバージョンだから、部数は半分ぐらいになる。それなら大丈夫だろう?」

ううっ…。

正直どんどん断れない状況に追い込まれているような気がする。

「あの…、会社のためなら…、こんな私が役に立つのなら…。」

しょうがない、腹をくくろう。

情けない私の言葉を聞いて、山本さんの顔がパッと明るくなった。

「大沢さん、ありがとう。」

山本さんに握手され、私は目を白黒させる。

「じゃあ、一時的に企画室に異動してもらえるかな。」

清田室長の言葉に私は首を大きく横に振った。

「こんな私でも総務でお仕事をさせてもらっています。やっと仕事も覚えてきたところなんです。そちらに支障がないようにしたいのです。そして出来れば、ポスターのモデルをする事は公にはしてほしくないんです。」

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