私の遠回り～会えなかった時間～

「…何時頃お邪魔したらいいの？」

それでも私は仕方なく答える。

「う～ん、そうね、9時頃いらっしゃいよ。そうあの子にも伝えておくわ。」

そんな話をしているうちに、テーブルの上はお母さんの料理でいっぱいになっていた。

「さあ、その話はもう終わり。お腹が空いたわ。」

お母さんと加代さんは笑いながら、食べ始めた。

私もその様子を見ながら、箸を取る。

まあ、新しく行きつけになるような美容院も決まらなかったんだから、一度お邪魔してみるか。

新しい美容師さんと相性が合わなかったら、その時は加代さんに正直に言おう。

私より6歳年上の美容師さんか。

話は合うのかな。

でもまだ一度も会ってもいないし、髪も切ってもらった事もないのにいきなりこんな事を考えるのは失礼かも。

私はそんな都合の良い事を思いながら、春巻を一口頬張る。