ねぇ先輩、名前をよんで。




きっと、軽い怪我で病院に行ったら


”もう大げさなんだから”

って笑っているに決まってる。


無理矢理心を落ちつかせて病室に入るけど、

彼女の声は聞こえなかった。


『ゆ、う……?』


彼女は病室でキレイな顔で眠っていた。


呼吸一つしない、

俺が触れてもピクリとも動かない。


とても静かに冷たくなって眠っていた。


『優ちゃん、起きて。ねえ、優……』


その時俺は叫んだだろうか、

何か言葉を発しただろうか。


そんなのは全然覚えてない。


ただ暗い暗い海の中にずぶずぶと沈められていくような


そんな感覚しか覚えていなかったーー。





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