ねぇ先輩、名前をよんで。



あの日。

俺を救いに来たヒーローみたいに現れたゆうちゃん。


彼女がいなくなり、

いつもひとりぼっちで屋上にいたところを話しかけてくれたんだ。


青い空を見て、それから下を見る。



ここから降りたら、優のところに行けるのかな


とかまた話せるのかな、とか

そんなことばかり考えていた。


でも、そんなこと考えるくせに

飛び降りる勇気なんてなくて


ただ、フェンスに手をかけるだけ。


俺は弱い。


いつも側に優がいてくれていたから甘えていたんだ。


「はは……っ、優。

俺、残されたら何にも出来ないよ」


涙で視界が歪む。


いっそのこと誰が背中を押してくれればいいのに。

そう思った瞬間。


『先輩』


俺はガシっと手を掴まれた。


< 64 / 250 >

この作品をシェア

pagetop