君の日々に、そっと触れたい。
「あら……ゆうちゃん!来てくれたのね」
インターホンを鳴らして出てきたのは、いかにも上品そうなお母さん。李紅によく似て優しく笑う、綺麗な人だった。
家の前まで李紅を送ったことはあるけれど、親御さんと会うのは初めて。
李紅のお母さんは私の存在に気付いて、首をかしげた。
「あら……?その子は夕実ちゃんのお友達?」
「あ、えっと……柏木 桜って言います!」
慌ててそう言うと、なぜか李紅のお母さんは驚いたように目を見開いたけれど、すぐに元通りの笑顔になる。
「李紅は自分の部屋で寝てるわ。紅茶を用意するから、ゆうちゃんは桜ちゃんを案内してあげて?」
「は~い!」
「お、おじゃまします…」
たどたどしく挨拶をすると、ゆうちゃんの後について階段を上がる。