君の日々に、そっと触れたい。
【李紅side】


眩しくて、不意に目が覚めた。

ぼやけた視線を流して時計を見れば、まだ朝の6時だった。

そっか、昨日カーテンを閉め忘れたんだ。だから眩しいんだ。

看護師さんが起こしに来る8時まではまだまだ時間がある。

鉛みたいに重たい身体を起こして、ベッドの縁に腰をかけた。

点滴スタンドに掴まって、なんとか身体を支えながらカーテンを閉めた。


たったそれだけなのに息が上がってしまって、速くなる鼓動と同時にガンガンと頭を殴られてるみたいな痛み。

最近は朝起きると毎日こうだ。

先生に言えば痛み止めをくれるけれど、薬漬けになって後で効かなくなるのは怖い。

どうやら二度寝は出来なそうだ。

気を紛らわそうと徐に枕元のスマホに手を伸ばした。

倒れてから全く開いてないホーム画面には、不在着信の通知がずらり。全部賢太郎たちだ。

「やっば………」

すぐ折り返しの電話をするべきだろうか。

病院に付き添ってくれたとは聞いていたけど、昨日は検査やら何やらでバタバタしてたから丸一日放置してしまった。

こんな朝早くに掛けても寝てるかもしれないけれど、俺からの着信履歴が残ってればとりあえず安心してもらえるかもしれない。

花火大会をダメにしたことも謝らないと。


出ないと思って賢太郎に電話を掛けたら、予想外にも相手はワンコールで出た。


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