御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
(……嘘でしょう?)

テレビの前の多くの国民を虜にした、まっすぐで、清らかな瞳が奏だけに向けられる。

「俺の妻になってくれ。必ず幸せにすると約束するし、生涯かけて愛し抜くと誓う」

まるで夢物語の中にいるようだった。
スーパースターに愛を囁かれるなんて。

会ってひと度見つめ合えば誰もが心を奪われる――テレビのコメンテーターがいつだったかそんなことを言っていた。
その言葉通り、端正な顔立ちと伸びやかな声に、奏の心はすぐさま捕らえられる。

「急かして悪いけど、ゆっくりと考えてもらう時間はない。だから、今この瞬間に決めてもらう」

熱のこもった声で囁いたあと。
鷹凪は奏の顎を押し上げて、強引に唇を近づける。

「あのっ……」

その先は言葉にならなかった。
塞がれた唇の下で「んっ」とうめき、奏は目をぱちぱちと瞬く。

奏にとって初めての口づけは、胸の奥底を撫でられたような恍惚と、すべてをかき消すほどの衝撃。

男はうぶに震えるその唇をひとしきり味わったあと、息を切らしながら離した。
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