御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「鷹凪さんは、どうしてこの仕事を選んだんですか?」

「……父親とその周りの影響だ。俺が政界に進出することで、メリットのあるやつらがたくさんいたんだよ」

「でも、昔は保育士をやってらしたんですよね?」

「……詳しいな。ネットで調べたのか?」

あれだけテレビで特集を組まれているのだ、嫌でも耳に入ってくる。
前職が保育士で、子ども好き、その経歴を前面に押し出して、子育て世代に寄り添う政治というのが鷹凪の売り文句だ。

「本当は、ずっとそのままでもよかった。小難しいことを考えずに、子どもたちとじゃれ合ってる方がずっと幸せだった。自分が政治をやろうなどと思ったことはなかった」

「それなのに、どうして……」

「俺なりに、未来を憂いたんだ。政治家は、自分が生きている時代にしか目を向けない。なら、未来を担う子どもたちはどうなってしまうのか――俺が政治家なら、次の世代に苦しいだけの世界を残そうだなんて思わない」

彼の言葉のひとつひとつが、奏の心の奥深くにじんわりと刻み込まれる。今までなかなか見せてくれなかった誠実な一面。

彼のまっすぐな信念は、選挙で勝つための手段として作り込まれたものではなくて、紛れもない本心なのだと知った。
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