御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「総理の妻ともあろう女性が、それでいいのかな? 立場ってものを考えたことがあるかい? 普通はね、外交には夫人が付き添うものなんだよ。で、相手方の夫人と親しくなって、奥様同士のコミュニケーションや人脈を築き上げていくものなんだ。……『暗躍』っていえばピンときてもらえるかな? 妻の立場からの政治的働きかけとか、そういうものが必要になってくるからね」

闇の深い笑顔を浮かべて語りだした小田桐に、奏は困惑して立ち尽くす。

「政治ってね、どこの国も首相や大統領がなんでもやってるように見えるけど、実はその周りの方が大事だったりするんだよ。夫人には夫人のコネクションがあって、いざとなれば人やら金やら、かき集めたりするものなんだ」

小田桐はソファに腰を据えたまま、立ち尽くす奏の手をそっと取った。愛を囁くような優しい声で、容赦のない言葉を投げかける。

「だからね。俺にはわからないんだよ。鷹凪がどうしてなんのコネクションもやる気もない君を選んだのか。俺はね、鷹凪に期待してるんだ。だから君ごときの存在で、彼の輝かしい未来を塗り潰さないでほしい。邪魔するくらいなら、早々と身を引いてほしいんだ……と言っても、結婚早々離婚だなんていうスキャンダルも困るけれど」

にっこりと笑って手を引いた小田桐は、奏を自分の隣へと座らせた。

奏の両肩に手を置いて、説得するみたいに真正面から向き合う。
< 72 / 147 >

この作品をシェア

pagetop