御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「だからね、今日の目的のひとつは君に会うことだったんだ。もう少し君に、鷹凪のことを考えてもらいたくて。えっと、名前は?」

「……奏です」

「奏さん。ね、もし奏さんが鷹凪のために身を削ってでもなにかしたいと思うなら、俺に連絡してよ。なんでも用意するから」

「……なんでも?」

「ああ。なんでも。君が外交に出るつもりがあるなら、味方になりそうな人を紹介するよ。ご婦人方の話についていけるように、政治情勢もレクチャーするし、マナーや立ち居振る舞いが心配なら、専門の指導員を紹介するし」

底知れない笑顔を浮かべたまま、小田桐は懐から自分の名刺を取り出した。

「だから、俺の助けが必要になったら、ここに連絡して。鷹凪には言えないことでも、俺になら相談できるだろ?」

奏は恐る恐る名刺を手にする。この人は自分の敵なのだろうか、それとも味方? 鷹凪にとっては……? 

本当に親切心で言ってくれているのか、なにか裏があるのか、この笑顔からは読み取れない。

警戒する奏をなだめるように、小田桐はパっと表情を明るくした。

「それにしても、かわいらしいねー! まぁ、君みたいな子を家に置いときたい気持ちは少なからず理解できる。俺も癒されたいもん。うちの嫁さんときたら、家に帰っても仕事に行ってもガミガミで」

わははっと大胆に笑って奏の肩に手を回した。
大きな腕がどしんと肩に乗ってきて、奏は「ひゃっ」という小さい声とともに前屈みになった。

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