冷酷な騎士団長が手放してくれません
目前で、リアムが驚いたように目を瞠った。


「自覚したのは最近だけど、私はずっと、あなたに恋をしていました」


戸惑ったように、リアムが視線を泳がせる。


「やめてください。下僕に過ぎない俺に、そんな言葉づかいは……」


「どうして? あなたは私にとって、この世の何よりも尊い存在」


その黄金色に輝く髪も、どこまでも澄んだ青い瞳も、胸に染み入る言霊を囁く唇も。全て、自分のものに出来たらいいのに。


「だからお願い、リアム。私を抱いて」






リアムが、慄いたように体を硬直させた。


「ソフィア様。何を言って……」


「本気よ。どうせ私は、この先結婚出来ない身。それでもあなたに抱かれるならば、一生悔いは残らない」


いまだに戸惑いを消せていないリアムに、ソフィアは強い口調で言い切った。


「ならば、命令よ。リアム、私を抱きなさい」


遠く離れ離れになる前に、その熱を息吹を、肌に記憶したい。


――愛しい、私だけの下僕。






身を乗り出し、自分から唇を重ねる。


馴れないことに、震えを隠せないままに。


柔らかな感触を共有した途端、リアムの瞳に静かな炎が宿った。


震える唇をどうにか離したソフィアをリアムは恍惚とした表情で見つめ、きつく抱きしめる。


そして、耳もとで熱い吐息とともに囁いた。


「あなたのせいだ。もう、俺は引き返すことはできない」
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