冷酷な騎士団長が手放してくれません
ソフィアが口を開きあぐねているうちに、リアムが一歩前に歩み出た。


「御言葉ですが、殿下。ソフィア様は、ご気分が優れないようです。少し、休憩を挟まれてはいかがでしょうか?」


カダール公国の王子を前にしても、リアムは少しも怯まなかった。恵まれた容姿だけでなく、身に纏うオーラもニールに劣りはしない。


何よりもその鋭いブルーの瞳には、身分差など一瞬にして吹き飛ばしてしまうほどの勢いがあった。


リアムの気迫に押されてか、ニールは一瞬言葉を詰まらせた。だが、すぐに持ち前の品に満ちた微笑を浮かべる。


「そうだな、そうしよう」


「殿下、申し訳ございません」


頭を下げるソフィアに、「気にするな」と優しく声を掛けるニール。


ソフィアは、リアムに付き添われるようにしてホールの外へと出て行った。
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