恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「そうでしょー?しかもラッキーなことばかり。お父さんや、目に見える人はもちろん、目には見えない色んな存在も“白樺”開くことを応援してくれたり、サポートしてくれたから、スムーズにお店を開くことができたと思ってるわ。だけどね、いくら楽観主義の私でも、ただ“近いから”って理由だけで、岸川さんに大事なお店の内装を頼まないわよ。そこは偶然だけじゃなくて、相性の良し悪しも絡んでくるから」
「相性・・」
「そう。岸川さんとは気が合ってるの。つまり相性が良いってことね。まぁ、近くに気が合う建築家がいたってことも、偶然の一つなんでしょうけど。岸川さんは相手の要望を明確にして引き出すことが上手な人ね。しかもそれがさりげない感じで、決して押しつけてこないのよ。たとえばお母さんが1つ質問すると、お母さん自身が選べるように、最低3つ以上の選択肢を用意してくれるの。もちろん、建物の構造上とかでできないことは、素人のお母さんでも分かるように説明してくれるし。ああいう人こそ自分の仕事に誇りを持っている職人的なプロと言うのよねぇ。お母さんは岸川さんみたいな人が好きだなぁ」

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