浮気してるくせに平然な彼







 口にしてしまえば尚更、サナへの嫉妬が止まらない。


 私が堀内くんに向ける気持ちを知ってしまっている石田くん松本くんが、”えっとー”と言葉を挟んできた。


「とりあえず戻ってるから……ごゆっくりどうぞ」


石田くん達の余計な気遣いで、私と堀内くんはその場に取り残されてしまった。


 ………………どうしよう。


 どうしたら良いんだろうと悩んでる私の腕を、堀内くんは強く引いた。


 そのまま堀内くんの胸に飛び込んでしまい、とっさに離れようとしたけど堀内くんの力は強い。



 そういえば、サナと陸くんの浮気現場を、教室前で聞いてしまった時も、涙と嘔吐で汚れた私を離してくれなかった。



――まるで遠い昔かのように思い出に浸っていると、


「俺が橋本を助けたいのは全部俺のため。橋本に好かれたいだけの、ただの自己満」


堀内くんは急にポツリポツリと、自分の想いを吐き出した。

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