浮気してるくせに平然な彼






 校門の少し先で車を止まらせて、俺は助手席から降り、サナの元へ駆け寄った。


 サナは俺を見るなり不満そうな顔をした。

「言っとくけど、私遅刻じゃないから。堀内くるの遅いから待ってただけだから」


 立ち話なんてしている場合じゃないのに、来るの待ってたなんて言われたら『何で』と、聞かざるを得なかった。


 …………だって、信じられない。


 あんなに俺の事を毛嫌いして、俺と話したくなくてずっと避けまくってたサナが、俺を待ってたなんて、どうしようもなく嬉しかった。


 ………………ほぼ絶望的だった計画が、途端、叶えるように思えた。


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