浮気してるくせに平然な彼





 ………ったく。石田達はいつまで俺らに気使ってんだよ!



 橋本に”好き”を伝えてしまった為、二人でいる事が気まずくて、いてもたってもいられなかった。


 後ろで明らかに声が聞こえる石田達に“早く来い”と、呼びかけようと、後ろを振り向いたその時。


 …………なんでアイツらがサナと話してんの??
しかも何アレ。有り得ないくらい盛り上がってるし!!



「違うって!!堀内にーーーー」


 ……………しかも俺のいない所で俺の話で盛り上がってるし!!


 ムッとしながらも、気になっていた事を橋本に問いかける。


「………陸と話した??」


「……ううん。目も合わせてくれない」


 “もしかしたら旅行中に話し合わなくても、自然消滅できるかもしれない”と言い出す橋本に、返す言葉が見つからない。


自然消滅なんてありえない。


 ――かといって、『アイツは橋本と別れる気はない』なんて言って、この先の旅行を暗い気持ちにさせたくない。


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