ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
褒められて気をよくした私は、おばさんから基本のステップを教わって、いざ広間へ。

ドアを開ければ何曲目かのダンスの真っ最中であったが、登場した私に拍手が湧いて、ダンサーのひとりが迎えに来てくれた。

にこやかなお姉さんに手を引かれて、私は広間の中央に壁側を向いて立たされる。


目の前には、料理を前にあぐらをかいて座るよっしーがいて、口をあんぐりと開けているところを見れば、本格的な衣装を身につけての私の登場は予想外であったのだろう。

そんなに驚かれると、照れるじゃないか。


まじまじと見つめられて、急に恥ずかしさが込み上げてくる。

けれどもダンサーに促され、見よう見真似で踊りだせば、すぐに楽しさが勝り、熱視線を送ってくる彼のことなどどうでもよくなる。


歌と踊りは、ジャンルや国を問わず、誰もが楽しめる娯楽だと思う。

高校から親元を離れて数年間札幌で暮らしていた私は、毎年六月に開催される『よさこいソーラン祭り』に欠かさず参加して街を踊り歩いた。

最近は専ら演歌を聞くことが専門で、踊りから遠ざかっていた私だが、久々に血湧き肉躍る興奮が込み上げてベリーダンスに夢中になった。


どうだい、この優れたリズム感。

動きが少しばかり和風だが、なかなかうまく踊れている気がする。

私が激しく腰を振れば、大歓声が沸いて、広間は大盛り上がりだ。
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