ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
やっぱり息苦しいんだ……。

心配でノックしてからドアを開ければ、ベッドランプの明かりのみの薄暗い寝室で、彼がベッドに座っていた。

キョトンとした顔で、「どうした?」と問いかける。


「良樹の隣じゃないと眠れない」


神妙な面持ちの私がドア前に立ち、小声で答えると、意外そうな目を向けられた。


「夕羽ちゃん、そんなに甘えん坊だった?」


そうではなく、離れて寝れば余計に心配で眠れないのだ。

けれども彼にも男としてのプライドがあるだろうから、私はその問いに無言で頷く。

すると嬉しそうに微笑んだ彼に、「わかったよ。おいで」と言ってもらえた。


広いベッドの彼の隣に潜り込む。

ベッドランプを消して彼も横になり、私の体に腕を回して引き寄せると、この無駄に大きな胸にすっぽりと顔を埋めた。


「その寝方、苦しくないの?」

「うん。柔らかくて、いい香りがして気持ちいい。この方がホッとして息も楽に吸える気がする。夕羽ちゃんの癒しの効果かな」


それはきっと、直前に吹きつけた吸入薬の効果でしょう……。

そうツッコミを入れるのは味気ないので、「それはよかった」と彼の頭を包むように抱きしめた。


「朝までこうして抱いてあげるから、ぐっすりおやすみ」

「……なんだ。俺を甘えさせるために来てくれたのか」


「ばれた?」とニヤリとすれば、彼もクスクスと笑う。

その声の振動がパジャマ生地を通して私の肌に伝わってきて、少しくすぐったい。
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