ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
「俺の彼女は、昔も今も頼もしいな。ありがとう、夕羽……」
ため息交じりの言葉は尻切れに終わり、やがて寝息に変わる。
良樹の髪をゆっくりと撫でながら、声に出さずに語りかけた。
頼もしくなりたいけど、力不足でごめん。
仕事に関しては、私はなにも助けてあげられないよ。
電球切れなら、脚立担いで飛んでいくんだけどね……。
翌日は土曜日。
『夕羽ちゃんのおかげでよく眠れた』と元気を取り戻した良樹は早朝に出勤して、それから数時間が経ち、時刻は十時を回ろうとしていた。
洗濯乾燥機にふたり分の洗濯物を入れて稼働させた私は、さて出掛けるかと、ショルダーバッグを手に玄関に向かう。
これからもっくんと会う約束をしている。
それはもちろん、石川さゆりのコンサートチケットを受け取るためだ。
その予定を良樹には教えなかった。
出がけの彼に『夕羽ちゃんの今日の予定は?』と問われて、『特にないよ』と嘘をついた。
それは彼を妬かせないためであるけれど、後ろめたい気持ちになり、彼を見送る際は胸がチクリと痛かった。
もっくんと私はただの演歌友達で、祖父と孫ほど年齢差があるというのに、なぜ背徳感に苛まれないといけないんだ……。
なにも悪いことはしていないと自分に言い聞かせた私は、マンションを出て電車の駅へ向かう。
空に薄雲が広がっているおかげで今日の最高気温は二十五度予報と適温だ。
雨も降らないそうで、絶好のレジャー日和と言えるかもしれない。
ため息交じりの言葉は尻切れに終わり、やがて寝息に変わる。
良樹の髪をゆっくりと撫でながら、声に出さずに語りかけた。
頼もしくなりたいけど、力不足でごめん。
仕事に関しては、私はなにも助けてあげられないよ。
電球切れなら、脚立担いで飛んでいくんだけどね……。
翌日は土曜日。
『夕羽ちゃんのおかげでよく眠れた』と元気を取り戻した良樹は早朝に出勤して、それから数時間が経ち、時刻は十時を回ろうとしていた。
洗濯乾燥機にふたり分の洗濯物を入れて稼働させた私は、さて出掛けるかと、ショルダーバッグを手に玄関に向かう。
これからもっくんと会う約束をしている。
それはもちろん、石川さゆりのコンサートチケットを受け取るためだ。
その予定を良樹には教えなかった。
出がけの彼に『夕羽ちゃんの今日の予定は?』と問われて、『特にないよ』と嘘をついた。
それは彼を妬かせないためであるけれど、後ろめたい気持ちになり、彼を見送る際は胸がチクリと痛かった。
もっくんと私はただの演歌友達で、祖父と孫ほど年齢差があるというのに、なぜ背徳感に苛まれないといけないんだ……。
なにも悪いことはしていないと自分に言い聞かせた私は、マンションを出て電車の駅へ向かう。
空に薄雲が広がっているおかげで今日の最高気温は二十五度予報と適温だ。
雨も降らないそうで、絶好のレジャー日和と言えるかもしれない。