ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
周囲にある普通の民家、四軒分ほどの敷地に、平屋の横長の工場がある。
青いトタン屋根にクリーム色の外壁で、錆び具合がなかなかの年季を感じさせる。
左端に事務所入口と書かれたヨモギ色のドアがあり、建物の前は砂利の敷かれた駐車スペース。
そこには軽トラックが二台と白い乗用車が二台、止められていた。
車の後ろの工場の壁にはシャッターがついていて、二枚の内、一枚が開放されて、工場内から金属を削っているような甲高い音が外まで聞こえていた。
もっくんは工場内にいるのだろうかと、二台並んだ軽トラックに近づき、その間から奥を覗いてみる。
金属加工用の機械が所狭しと並んでいて、鼠色の作業着姿の男性が数人いるようだ。
シャッターの上には看板があり、『鈴木ネジ製作所』と書かれたそれを見て、私ははたと考え込む。
その社名をどこかで聞いたような……?
腕組みをした私が首を傾げたら、金属の加工音が途切れて、トラックの後ろで話し声がすることに気づく。
男性ふたりのものと思われる声には聞き覚えがあり、私の注意は彼らの会話に引きつけられた。
「鈴木社長、どうか話だけでも聞いていただけないでしょうか? お願いします」
「三門さんの謝罪は受け取るけど、できんもんはできん。こっちも手一杯で、これ以上の仕事は受けられんのですよ。俺も年だし、従業員はたったの十人だ。倒れちまう」
あれ、あれれれ?
これは一体どういうことだろう。
ここは鈴木ネジ製作所で、もっくんの名字と同じだ。どうやら私の演歌友達はただの従業員ではなく、社長らしい。知らなかった。
いや、そんなことよりも、この声は紛れもなく良樹ともっくんのもの。
この軽トラックの裏側には、そんなまさかの状況が……!?
青いトタン屋根にクリーム色の外壁で、錆び具合がなかなかの年季を感じさせる。
左端に事務所入口と書かれたヨモギ色のドアがあり、建物の前は砂利の敷かれた駐車スペース。
そこには軽トラックが二台と白い乗用車が二台、止められていた。
車の後ろの工場の壁にはシャッターがついていて、二枚の内、一枚が開放されて、工場内から金属を削っているような甲高い音が外まで聞こえていた。
もっくんは工場内にいるのだろうかと、二台並んだ軽トラックに近づき、その間から奥を覗いてみる。
金属加工用の機械が所狭しと並んでいて、鼠色の作業着姿の男性が数人いるようだ。
シャッターの上には看板があり、『鈴木ネジ製作所』と書かれたそれを見て、私ははたと考え込む。
その社名をどこかで聞いたような……?
腕組みをした私が首を傾げたら、金属の加工音が途切れて、トラックの後ろで話し声がすることに気づく。
男性ふたりのものと思われる声には聞き覚えがあり、私の注意は彼らの会話に引きつけられた。
「鈴木社長、どうか話だけでも聞いていただけないでしょうか? お願いします」
「三門さんの謝罪は受け取るけど、できんもんはできん。こっちも手一杯で、これ以上の仕事は受けられんのですよ。俺も年だし、従業員はたったの十人だ。倒れちまう」
あれ、あれれれ?
これは一体どういうことだろう。
ここは鈴木ネジ製作所で、もっくんの名字と同じだ。どうやら私の演歌友達はただの従業員ではなく、社長らしい。知らなかった。
いや、そんなことよりも、この声は紛れもなく良樹ともっくんのもの。
この軽トラックの裏側には、そんなまさかの状況が……!?