ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
私が注意していることに気づかない彼は、ワクワク顔で、そのいいニュースとやらを話しだす。
今日は昼から外勤で、経済界の重鎮と会食予定だったそうだが、先方の都合で急にキャンセルになり、スケジュールに三時間ほどの空白ができたそうだ。
それで「一緒にランチができるよ!」とのことだった。
きっと良樹は会食のキャンセルの知らせを受けた後、総務部に電話したのだろう。
けれども私は備品の補充に回っていて、連絡がつかなかった。
戻り次第、折り返させると言われても、それを待ちきれずに、私を捜すべく社長室を飛び出したに違いない。
もし彼に尻尾があったなら、ちぎれんばかりに振っていそうな気がする。
私のことが好きすぎて、一緒のランチごときに浮かれる彼が可愛らく、胸がキュンと音を立てた。
各部署の囲み取材で削られた気力は回復し、「うん、わかった」と彼に笑顔を向けた。
「じゃあ、急いで備品の補充に回ってくるよ。今は……十一時だね。一時間後に昼休みに入れるから、社長室で待っててね」
私としては、社食か近辺の食事処でのランチを想像し、昼休み時間の変更も考えていない。
社長の恋人とはいえ、ただの派遣社員。その分はわきまえているつもりでいた。
今日は昼から外勤で、経済界の重鎮と会食予定だったそうだが、先方の都合で急にキャンセルになり、スケジュールに三時間ほどの空白ができたそうだ。
それで「一緒にランチができるよ!」とのことだった。
きっと良樹は会食のキャンセルの知らせを受けた後、総務部に電話したのだろう。
けれども私は備品の補充に回っていて、連絡がつかなかった。
戻り次第、折り返させると言われても、それを待ちきれずに、私を捜すべく社長室を飛び出したに違いない。
もし彼に尻尾があったなら、ちぎれんばかりに振っていそうな気がする。
私のことが好きすぎて、一緒のランチごときに浮かれる彼が可愛らく、胸がキュンと音を立てた。
各部署の囲み取材で削られた気力は回復し、「うん、わかった」と彼に笑顔を向けた。
「じゃあ、急いで備品の補充に回ってくるよ。今は……十一時だね。一時間後に昼休みに入れるから、社長室で待っててね」
私としては、社食か近辺の食事処でのランチを想像し、昼休み時間の変更も考えていない。
社長の恋人とはいえ、ただの派遣社員。その分はわきまえているつもりでいた。