ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
そうして大急ぎで飛行機のフライト時間を調べてチケットを取り、退社した後は一度帰宅して荷物を慌ただしくまとめる。
良樹には後でメールしようと思うけど、一応ダイニングテーブルに『ごめん。急だけど実家に帰る』とメモ書きを置いて、タクシーで空港に向かった。
羽田から北海道の新千歳空港へ。
さらに飛行機を乗り継ぎ、北海道の北端にある稚内空港に降りたら、そこからフェリーで離島までおよそ百分。
片道の交通費は六万円ほどで、スムーズな乗り継ぎでも羽田を経ってからの所要時間は六時間弱と、お金も時間もかなりかかる。
やっと離島の船着場に降り立った時にはとっぷり日が暮れて、時刻は十九時半になっていた。
港からほど近くの実家まで息を切らせて走って帰り、鍵のかかっていないドアを開けて、「ただいま!」と駆け込む。
「母ちゃん、父ちゃんの容態は……」
築四十一年、昭和レトロな家の居間に飛び込んだ私は、目にした光景に衝撃を受け、日焼けした絨毯に膝を落として両手をついた。
ニュースを流すテレビ前に布団が敷かれ、父が体を横たえている。
その手には日本酒を入れたビールジョッキが持たれ、炙ったスルメをつまみに晩酌しているのだ。
脱力しないわけにはいかない。
良樹には後でメールしようと思うけど、一応ダイニングテーブルに『ごめん。急だけど実家に帰る』とメモ書きを置いて、タクシーで空港に向かった。
羽田から北海道の新千歳空港へ。
さらに飛行機を乗り継ぎ、北海道の北端にある稚内空港に降りたら、そこからフェリーで離島までおよそ百分。
片道の交通費は六万円ほどで、スムーズな乗り継ぎでも羽田を経ってからの所要時間は六時間弱と、お金も時間もかなりかかる。
やっと離島の船着場に降り立った時にはとっぷり日が暮れて、時刻は十九時半になっていた。
港からほど近くの実家まで息を切らせて走って帰り、鍵のかかっていないドアを開けて、「ただいま!」と駆け込む。
「母ちゃん、父ちゃんの容態は……」
築四十一年、昭和レトロな家の居間に飛び込んだ私は、目にした光景に衝撃を受け、日焼けした絨毯に膝を落として両手をついた。
ニュースを流すテレビ前に布団が敷かれ、父が体を横たえている。
その手には日本酒を入れたビールジョッキが持たれ、炙ったスルメをつまみに晩酌しているのだ。
脱力しないわけにはいかない。