ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
「航平は男じゃねぇよ。先月帰って来た時には、髪を真っ赤に染めていやがった。しかも肩まで長くしてよ。なんて格好してんだか……」
年に数回、長い連休には実家に帰ってきて漁を手伝う私だけど、そういえば弟にしばらく会っていない。
盆にも会えなかったから、前に顔を合わせたのは正月ということになる。
その時は確か、短いツンツンとした髪型で明るい茶色だったと思う。
札幌の美容専門学校に通っている弟の夢は美容師なので、色々な髪型にするのはわかるけど、長髪とはどういうことか。
一年足らずでそんなに伸びるはずがないから、ウィッグでも被っていたのだろうか。
父は昔かたぎな男だから、お洒落する弟を情けなく思っても仕方ないのかもしれない。
弟と父の双方に理解を示して、ひとり頷き、酒を煽る私だが、ため息をついて続けられた父の言葉に、目を瞬かせることになる。
「俺はもうあいつのことは諦めた。スカート穿いて化粧して、女言葉で話しやがる。漁師にはならねぇだろうな」
それはどういうことだろう……と、私はグラスを持つ手を空中に止めて、静かに戸惑う。
弟は女装家なのか、はたまた、なにかに目覚め、オネェとして生きることを決めたのか。
弟をやめて妹になるというのなら、ひと言くらい相談してほしかった。
年に数回、長い連休には実家に帰ってきて漁を手伝う私だけど、そういえば弟にしばらく会っていない。
盆にも会えなかったから、前に顔を合わせたのは正月ということになる。
その時は確か、短いツンツンとした髪型で明るい茶色だったと思う。
札幌の美容専門学校に通っている弟の夢は美容師なので、色々な髪型にするのはわかるけど、長髪とはどういうことか。
一年足らずでそんなに伸びるはずがないから、ウィッグでも被っていたのだろうか。
父は昔かたぎな男だから、お洒落する弟を情けなく思っても仕方ないのかもしれない。
弟と父の双方に理解を示して、ひとり頷き、酒を煽る私だが、ため息をついて続けられた父の言葉に、目を瞬かせることになる。
「俺はもうあいつのことは諦めた。スカート穿いて化粧して、女言葉で話しやがる。漁師にはならねぇだろうな」
それはどういうことだろう……と、私はグラスを持つ手を空中に止めて、静かに戸惑う。
弟は女装家なのか、はたまた、なにかに目覚め、オネェとして生きることを決めたのか。
弟をやめて妹になるというのなら、ひと言くらい相談してほしかった。