ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
テレビでは、今は亡き島倉千代子の名曲『人生いろいろ』を他の歌手が歌っていて、それを聞きつつ今度弟に電話してみようと思っていたら、父が「いてて」と言いながら体を起こそうとした。
慌てて父を支え、布団の上に座らせてあげたら、真面目な顔をした父に肩をポンと叩かれる。
「夕羽、うちの息子はお前だけだ」
「父ちゃん……知らなかったのなら今打ち明けるけど、私は娘だよ。東京に彼氏もいるし、一緒に暮らしてる。悪いけど、まだ当分、帰らない」
私がこっちに戻れば、良樹は嘆き悲しむことだろう。
なにしろ、たった二泊の出張で、私と離れるのがつらいと涙目になる男だから。
私も遠距離恋愛になるのは寂しいので、父には悪いと思っても、離島で漁師をするつもりはなかった。
私の言葉に父は残念そうにするのではなく、目を見開いて驚いている。
「な、なに!? 男と暮らしてるって、お前……結婚すんのか?」
「いや、そこまでの話はしてないけど……考えてはいるだろうね。向こうはね。私はまだ乗り気じゃないというか、覚悟ができないというか……」
慌てて父を支え、布団の上に座らせてあげたら、真面目な顔をした父に肩をポンと叩かれる。
「夕羽、うちの息子はお前だけだ」
「父ちゃん……知らなかったのなら今打ち明けるけど、私は娘だよ。東京に彼氏もいるし、一緒に暮らしてる。悪いけど、まだ当分、帰らない」
私がこっちに戻れば、良樹は嘆き悲しむことだろう。
なにしろ、たった二泊の出張で、私と離れるのがつらいと涙目になる男だから。
私も遠距離恋愛になるのは寂しいので、父には悪いと思っても、離島で漁師をするつもりはなかった。
私の言葉に父は残念そうにするのではなく、目を見開いて驚いている。
「な、なに!? 男と暮らしてるって、お前……結婚すんのか?」
「いや、そこまでの話はしてないけど……考えてはいるだろうね。向こうはね。私はまだ乗り気じゃないというか、覚悟ができないというか……」