ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
その時、後ろにバタバタと走る足音がして、「いでで」という声に続いて、「こらっ、俺の娘になにしてくれてんだ!」と叫ぶ父の声が聞こえた。
唇を離して振り向けば、父が腰に手を当て痛みに顔をしかめつつも、私たちの前に立ち、良樹を睨みつける。
そして「お前が夕羽と一緒に暮らしてるっていう男か?」と詰問調で問いかけた。
初対面ではないふたりだけど、良樹は随分とイケメンに成長したため、ぽっちゃりひ弱な少年の面影はなく、父は気づかないことだろう。
それで、彼を改めて紹介しようとしたのだが、私の一歩前に進み出た良樹が、父を見下ろして先に話し始めてしまった。
「突然、空からすみません」
「お、おう。なんだ、随分と背がデケェし、男前な面してやがんな。空からって、さっきの怪しげなヘリにお前が乗ってきたのか? 金持ちくせぇな……」
「はい。金銭的な余裕はかなりあります。ですから夕羽さんに不自由な思いはさせません。私に娘さんを今すぐください」
どちらかといえば、父の方が怯んでいるように見える。
それは良樹が醸し出している大富豪オーラのせいというよりは、父より十五センチほども上背であることと、漁船しかないような島に、燕尾服で空からやってきた変な奴という理由が大きいように思われる。
唇を離して振り向けば、父が腰に手を当て痛みに顔をしかめつつも、私たちの前に立ち、良樹を睨みつける。
そして「お前が夕羽と一緒に暮らしてるっていう男か?」と詰問調で問いかけた。
初対面ではないふたりだけど、良樹は随分とイケメンに成長したため、ぽっちゃりひ弱な少年の面影はなく、父は気づかないことだろう。
それで、彼を改めて紹介しようとしたのだが、私の一歩前に進み出た良樹が、父を見下ろして先に話し始めてしまった。
「突然、空からすみません」
「お、おう。なんだ、随分と背がデケェし、男前な面してやがんな。空からって、さっきの怪しげなヘリにお前が乗ってきたのか? 金持ちくせぇな……」
「はい。金銭的な余裕はかなりあります。ですから夕羽さんに不自由な思いはさせません。私に娘さんを今すぐください」
どちらかといえば、父の方が怯んでいるように見える。
それは良樹が醸し出している大富豪オーラのせいというよりは、父より十五センチほども上背であることと、漁船しかないような島に、燕尾服で空からやってきた変な奴という理由が大きいように思われる。