ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
二日前に私が危惧した、恋人と父との相撲対決とはならない雰囲気なので、良樹に任せて成り行きを静観してみたら、父は威厳を保とうと頑張って片足を半歩前に踏み出していた。
「この俺を金で釣ろうってのか?」と凄んでみせ、なぜか腕まくりをして五十半ばにしては逞しい上腕二頭筋を披露する。
「釣るのは魚だけにしとけ。俺は金なんぞで動かされねぇぞ。今すぐ夕羽をくれと言われてもな、大事な娘だ。ホイホイくれてやれるかってんだ」
若干、この対決を楽しみ始めた私は、良樹はどんな反撃に出るのかと、斜め後ろで腕組みをして見守る。
彼の次の一手は、片手に持っているバラの花束だった。
それを私ではなく父に差し出したから、父は意表をつかれたように眉を上げた。
「花なんてもらっても、嬉しくねぇよ」という言葉はもっともで、私は父に同意して静かに頷く。
花は綺麗だと思うけど、味わえないからつまらない。
花より団子……いや、酒の私たち親子は、バラの花束では心を動かされないが、それは良樹の失策ではないようで、彼は自信ありげな声で言った。
「お渡ししたいのは、バラではありません。花束の中をよくご覧ください」
「この俺を金で釣ろうってのか?」と凄んでみせ、なぜか腕まくりをして五十半ばにしては逞しい上腕二頭筋を披露する。
「釣るのは魚だけにしとけ。俺は金なんぞで動かされねぇぞ。今すぐ夕羽をくれと言われてもな、大事な娘だ。ホイホイくれてやれるかってんだ」
若干、この対決を楽しみ始めた私は、良樹はどんな反撃に出るのかと、斜め後ろで腕組みをして見守る。
彼の次の一手は、片手に持っているバラの花束だった。
それを私ではなく父に差し出したから、父は意表をつかれたように眉を上げた。
「花なんてもらっても、嬉しくねぇよ」という言葉はもっともで、私は父に同意して静かに頷く。
花は綺麗だと思うけど、味わえないからつまらない。
花より団子……いや、酒の私たち親子は、バラの花束では心を動かされないが、それは良樹の失策ではないようで、彼は自信ありげな声で言った。
「お渡ししたいのは、バラではありません。花束の中をよくご覧ください」