ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
「二十四時間と五分ぶりくらいじゃないか? 今日は呼び出してから来るまで遅かった。俺のスケジュール、詰め詰めで、時間取るのが難しいんだよ。もっと急いで来て」
「あんたの秘書さんの苦情を聞いてたから遅れたんだよ。私は悪くない。誰が悪いのかと言えば……よっしーくん、君だよ!」
体に回されている腕を解いて彼に向き直り、片足を踏み鳴らしてキッパリと文句を口にした。
「毎日呼び出すのはやめて。社長とどんな関係かと聞かれても、君が秘密にしろというから友達だと説明もできない。笑ってごまかしてコソコソと来なければならない、私の身にもなってみて!」
目を瞬かせて聞いていた彼の眉が、ハの字に下がる。
「夕羽ちゃん、困ってるの?」と問いかける声は寂しげで、傷つけてしまったのかと心がチクリと痛んだが、ここで許してしまえば元の木阿弥。
「困ってるよ!」と正直な気持ちで答え、腕組みをして頬を膨らませてみせた。
「そうか……ごめん」と素直に、力なく謝った彼は、私から離れてゆっくりと執務机に向かう。
黒い革張りの肘掛付きの椅子に腰を下ろして、デスクトップのパソコンに向かい、マウスを動かしながら物憂げな表情をしていた。
「あんたの秘書さんの苦情を聞いてたから遅れたんだよ。私は悪くない。誰が悪いのかと言えば……よっしーくん、君だよ!」
体に回されている腕を解いて彼に向き直り、片足を踏み鳴らしてキッパリと文句を口にした。
「毎日呼び出すのはやめて。社長とどんな関係かと聞かれても、君が秘密にしろというから友達だと説明もできない。笑ってごまかしてコソコソと来なければならない、私の身にもなってみて!」
目を瞬かせて聞いていた彼の眉が、ハの字に下がる。
「夕羽ちゃん、困ってるの?」と問いかける声は寂しげで、傷つけてしまったのかと心がチクリと痛んだが、ここで許してしまえば元の木阿弥。
「困ってるよ!」と正直な気持ちで答え、腕組みをして頬を膨らませてみせた。
「そうか……ごめん」と素直に、力なく謝った彼は、私から離れてゆっくりと執務机に向かう。
黒い革張りの肘掛付きの椅子に腰を下ろして、デスクトップのパソコンに向かい、マウスを動かしながら物憂げな表情をしていた。