ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
慌ててその肩を押して唇を離し、「なにしてんの!?」と声を荒げる。
「え?」と、とぼけたように首を傾げた彼は、「夕羽ちゃんが目を閉じたから、キスしてもいいのかと思ったんだけど……違った?」と驚くことを真顔で聞いてくる。
「違うわ! もう、びっくりするな。あのね、よっしー。仲良くしてくれるのは嬉しいけど、こういうことは……」
真面目に説教を始めた私に、彼の眉がハの字に下がり、「夕羽ちゃん、もしかして他に好きな男がいるの?」と質問された。
眼鏡の奥の瞳は、不安げに揺れている。
彼氏がいるなら、いくら日本酒飲み放題と言われても、よっしーと同居するわけないでしょうと思いつつ、「これまで十一年間、好きな男も彼氏もいないよ」と女としては寂しい事実を口にした。
すると、モテない私を笑うのではなく、「十二年前は彼氏がいたってこと!? どんな奴?」と、焦ったような顔で聞かれ、元彼に興味を持たれた。
一升瓶から湯飲み茶碗に日本酒を注ぎながら、彼の反応のひとつ一つが、私の予想の斜め上であることに戸惑っていた。
おかしなところに食いつく男だ。
そういえば子供の頃も、ウニの棘が何本あるかが気になって眠れないからと言われ、岩場で半日、数十個のウニの棘を一緒に数えてあげたことがあったっけ。
「え?」と、とぼけたように首を傾げた彼は、「夕羽ちゃんが目を閉じたから、キスしてもいいのかと思ったんだけど……違った?」と驚くことを真顔で聞いてくる。
「違うわ! もう、びっくりするな。あのね、よっしー。仲良くしてくれるのは嬉しいけど、こういうことは……」
真面目に説教を始めた私に、彼の眉がハの字に下がり、「夕羽ちゃん、もしかして他に好きな男がいるの?」と質問された。
眼鏡の奥の瞳は、不安げに揺れている。
彼氏がいるなら、いくら日本酒飲み放題と言われても、よっしーと同居するわけないでしょうと思いつつ、「これまで十一年間、好きな男も彼氏もいないよ」と女としては寂しい事実を口にした。
すると、モテない私を笑うのではなく、「十二年前は彼氏がいたってこと!? どんな奴?」と、焦ったような顔で聞かれ、元彼に興味を持たれた。
一升瓶から湯飲み茶碗に日本酒を注ぎながら、彼の反応のひとつ一つが、私の予想の斜め上であることに戸惑っていた。
おかしなところに食いつく男だ。
そういえば子供の頃も、ウニの棘が何本あるかが気になって眠れないからと言われ、岩場で半日、数十個のウニの棘を一緒に数えてあげたことがあったっけ。