ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
なぜよっしーが怒るのかと不思議に思いつつ、三門家の御曹司なら、元彼の今の幸せを本当にぶち壊してしまえそうで、少々心配になった。


「昔のことすぎて名前は忘れたよ。男勝りな私が嫌になったのは仕方ないし、高校生だもん。そんなものでしょ」


そのように元彼をフォローした私だったが、「このおっぱいの、どこが男っぽいというんだ!」と、よっしーは鼻息荒くいきり立つ。


私を振った彼が今どこでなにをしているのかは知らないけれど、地獄送りはやめておくれ。

さりげなく私の胸を、ボインボインするのもやめておくれ。


その手首を掴んで胸から外し、「怒らなくていいから」と淡白な返事をすると、彼は真面目な顔をして「夕羽ちゃんは素敵な女性だよ。俺なら長所を百個は挙げられる」と意気込んだ。


私にもいいところはあるだろうけど、せいぜい十個ほどでしょうと思いつつ、「例えば?」と興味本位に催促してみる。


「まずは頼もしいところ」と張り切って答えた彼は、昔を思い出しているような懐かしい目をしてニコリと笑った。


「二階の窓から俺に会いに来てくれた夕羽ちゃんは、ジュリエットみたいだった」

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